長い光

思考型アイドルオタクの雑記

「俺」と「君」のセカイ〜生メール終了によせて〜

私の推している風男塾というアイドルグループは生メールという有料メール配信システムを利用していました。
ファンは月々300円程度を払うとアイドルからのメールを受け取ることができ、そのメールに対してファンは一方通行の返信を送ることもできる、簡単に言うと有料のメルマガサービスです。
全世界に開かれたブログや各種SNSとは違うアイドルの言葉が受け取れるのが魅力で、ある程度熱心な風男塾のファンは皆利用していたコンテンツ。
2013年から始まった(←今調べた、そんな長く続いてたんだ)この風男塾メールが、数週間前に2020年6月いっぱいで終了するとのお知らせを受けました。(最終メールは6/26に配信済み。)
この一報はファン一同相当な動揺とショックを受けたけれど、コロナ禍によりエンタメ業界が大変な状況下で様々な判断の末の決定だと思うし、まさに6/30の今日、新たな代替メールサービスの発表もあったので、ホッと一安心したところです。

代替サービスが始まるとはいえ、まだどのようなものかはわからないし、長年推しの「生メール」を購読してきた1ファンからすると、やはり寂しさも感じています。
眠れない深夜にメールが届いてホッとした気持ちになったり、朝起きて届いていたメールを読んでテンションが上がったり。言葉に悩みながらメールに返信をしたり。
質問コーナーに答えてもらったり。リリイベ期間やツアー中に、その日の公演の振り返りメールを読むのも楽しみでした。
今年の4月以降ほぼ毎日欠かさずに送ってくれていたからこそ、現場がない自粛期間にも落ち込まずにいられました。
何気ない些細なメール一つをとっても沢山の思い出があります。


私の推しこと、紅竜真咲くんを語るにあたって生メールというコンテンツを無視することは出来ません。
真咲くんがファンを惹きつける要素として、パフォーマンスやルックス、キャラクター以外に「文章力」もかなりの比重を占めていたのではないでしょうか。
それくらい、求心力のある文章を書く人。だからこそ生メールはファンにとっても本人にとっても、重要なツールだったと思います。
百聞は一見に如かずなので本来ならば紅竜真咲メール傑作選として過去の素晴らしいメールの数々をお見せしたいところなのだけど、有料コンテンツなのでそれが出来ないのがとても残念…。
そのためここにふんわりとどんなメールだったのかを個人的な思い出とともに書き残したいと思います。

私が真咲くんのメールを購読し始めたのは2017年の夏。
2017年3月の初ステージを見た時からなんとなく真咲くんのことはいいなぁと思ってはいて、でも推しを失ったばかりの自分にとって、また新たに誰かを今まで以上か同等の熱量で推すことは出来ないと思っていたので、友人たちに「次は誰推すの?」なんて聞かれた時には「新生風男塾ならゆる〜く真咲くんを推そうかなぁ?(笑)」くらいに答えていました。(今思うと笑える)
その時は遺族の1人として遠巻きに見守っていこうとした、はずだった。
そんな気持ちでふと見たある夏の日のステージで、真咲くんが出てきて踊り出した瞬間に、真咲くんだけがキラキラ輝いて見えたのだ。
出、出た〜!ハマりたてのオタクの常套句〜〜!!!
まあ文字にすると本当に陳腐になってしまうのだけど、でもそうとしか言いようがなかった。
春に何回か見たパフォーマンスとは見違えるような変化を目の当たりにし、目が離せなくなった。この人は伸びるなと本能的に感じた。
そして最初の1〜2曲の威勢の良さはどこかへ消え、夏の熱さにバテて1人だけヘロヘロになっている姿を見て、「この人をもっと応援したい!」と強く思ったりもした、笑
新規ハイよろしく熱に浮かされたテンションのまま、真咲くんのメールを購読開始した。それは、「これからこの人をちゃんと推そう」という自分への決意表明でもあった。
たかが300円、されど300円。生メールを購読する時、私には少しの踏ん切りと覚悟が必要でした。
私は例え少額でも誰かのために課金をすると、その誰かに責任が生まれるというか、生半可な気持ちでは推せなくなるなぁと思ってしまうタチなので…。(フッ軽の軽率オタクなのにね…矛盾してるけどその辺は意外と慎重)

そんなこんなで、真咲くんのメールを読み始めてから今日に至るのですが、「ライブ中のMCや、SNSのチャラいキャラと全然違うじゃん!!真咲くんってこんな人だったのか!」という発見がメールの随所に沢山散りばめられていました。
喜びや甘い言葉だけではない。時に熱く語られる夢。メンバーへの気持ち。率直なまでの怒りや悲しさ、悔しさ。
リアルな、等身大の社会人としての「紅竜真咲」の苦悩し足掻く姿も、届く文章の一つ一つからありありと感じ取れました。
真咲くんのメールを読むと、誰かに自分の想いを伝えたいという気持ちこそが、人の心を動かす文章を作り出せるのだと気づかされます。
文章は心で書くものだと推しから教えられました。

きっとメールを取っている人と取っていない人とでは、イメージする真咲くん像にかなりの乖離が出るのでは?
そのくらい、普段は見せない一面をメールでは出してくれていたと思います。
真咲くんから、「君」へのメールが届けば届くほど、私も真咲くんに対する気持ちの熱量は上がっていきました。
裏返せば、あの時メールを取っていなかったら、こんなに応援していなかったかもしれない。

私が受け取ってきた真咲くんのメールは、常に「君」と「俺」の世界で構成されていました。
紅竜真咲という「俺」がファンの「君」に言葉を投げかけるスタイル。
※2017年春の加入直後からメールを取っていた人に当時のメールのことを聞くと、初期はこのスタイルではなく、特に記憶にも残っていないくらいたわいもないメールだったらしい。(その時代もちょっと読んでみたかった)
勿論メンバーの話もたまには出てくるけれど、頻繁でもない。常に「俺」は「君」に自分の感じた気持ちや自分に起きた出来事を語りかけている。
本当にこの言葉は私自身にだけ投げかけられているのでは?とか、私の返信に対しての返事?と思わずお花畑な勘違いをしてしまいそうなくらいにフィットした言葉が届き、驚いた経験も一度や二度ではありません。(熱心な真咲くんファンの人にはきっと共感してもらえると思うんだ…)
それだけ、真咲くんはファンの「君」のことを常に考えて言葉を紡いでくれていました。
こういう風に書くと誤解されそうですが、勿論時にはガチ恋営業的な文面もありましたが、そこが本質ではないのです。

ある意味「セカイ系*1と呼ばれるような概念にも通ずるくらい、徹底した2人だけの世界を最後の1通まで貫いたこと。

これが私の考える真咲くんのメールの真髄、核になる部分だと思っています。
当たり前ですが「2人」の世界の形はそれぞれなんですよ。真咲くんとファンの「君」の関係の数だけあるんですよね。
メールの中での「俺」と「君」だけの世界を追求することにより、逆に個別具体的な関係ではなくなり、抽象度が高くなるのでしょう。
それゆえに、メールを読んだ時に真咲くんのファンそれぞれが共感しやすく、2人の世界に入り込みやすくなるのかなと推察しています。
無意識か意識的かはわかりませんが、どのようなスタンスの「君」にもできるだけ違和感なく届くような言葉選びをしていたのではないかと思います。
真咲くんはよく「言葉を選んでいたら時間がかかってしまった」的なことを書いていたので、きっとメール1通送るのも大変な労力をかけてくれていたんだろうなと…。

真咲くんのメールは「俺」と「君」だけの閉じられた世界だったけれど、鍵のかかった密室ではなく、どのような「君」も受け入れてくれる場所。
例えるならば「2人」と外界の間にふわっと1枚カーテンを引いたような、そんな柔らかく優しい秘密の空間のようでした。


2017年からずっと、日々ファンの「君」のためにメールを送り続けてくれた真咲くん、お疲れ様でした。
本当にありがとうございました。真咲くんからもらったメール1通1通は「私」の大事な宝物です。

さて、明日からまた新サービスを通して真咲くんのメールが読めるのが楽しみ〜〜!!(切り替え早)

またどんな世界を見せてくれるのか、ワクワクしています。この機会に皆も登録しようぜ~~!

ではでは!

 

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